麻生太郎さんといえば...


オタク文化に理解があるだのって、本格的に下らない持ち上げ方され。
しかも、それに乗っかって応援しちゃうバカ人もいたりしてゲンナリするわけですが。


個人的に麻生さんといえば、次の本に書かれていた逸話を思い出してしまいます。


 野中広務 差別と権力 魚住昭  講談社 (2004/6/29)*1
P351-353 強調は引用者

 二〇〇三年九月二十一日、野中は最後の自民党総務会に臨んだ。議題は党三役人事の承認である。楕円型のテーブルに総裁の小泉や幹事長の山崎拓政調会長麻生太郎ら約三十人が座っていた。

 午前十一時からはじまった総務会は淡々と進み、執行部側から総裁選後の党人事に関する報告が行われた。十一時十五分、会長の堀内光雄が、
「人事権は総裁にありますが、異議はありますか?」
 と発言すると、出席者たちは、
「異議なし!」
 と応じた。堀内の目の前に座っていた野中が、
「総務会長!」
 と甲高い声を上げたのはそのときだった。
 立ち上がった野中は、
「総務会長、この発言は、私の最後の発言と肝に銘じて申し上げます」
 と断って、山崎拓の女性スキャンダルに触れた後で、政調会長の麻生のほうに顔を向けた。
総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で、『 野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ 』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく、こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」
 野中の激しい言葉に総務会の空気が凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった。
 部落解放同盟中央本部の幹部が語る。
「総務会の出席者に確認しましたが、野中さんがそういう発言をしたのは事実です。自民党のなかで長い間、差別の眼差しを受けてきた野中さんのたまりにたまった怒りが最後に爆発したのでしょう。野中さんがなぜ最有力候補と言われながら総裁選に出なかったのか。橋本派内部で根強い反対があったからとも聞きましたが、それは議員たちの差別意識と無縁ではないのではないか。そんなことを考えると、政界の差別の闇の深さに暗然とします」
 この国の歴史で被差別部落出身の事実を隠さずに政治活動を行い、権力の中枢にまでたどり着いた人間は野中しかいない。彼は「人間はなした仕事によって評価されるのだ。そういう道筋を俺がひこう」と心に誓いながら、誰も足をふみ入れたことのない険しい山道を登ってきた。ようやく頂上にたどり着こうとしたところで耳に飛び込んできた麻生の言葉は、彼の半世紀にわたる苦闘の意味を全否定するものだったにちがいない。

これって、最近声だかに叫ばれてる、「部落利権」がどうのって次元ではなくて、
被差別部落出身者 = 総理大臣になってはいけない」と、明確に身分差別している点で、
相当に悪質な差別意識の吐露だと思います。
華麗なる一族」出身の麻生さんによる発言だけに、コトを知った野中さんの心中を察すると心が痛みます。



コメント欄でf402rr408さんにご指摘いただきました。
本件に関して、麻生さんが明確に否定している議事録を以下にコピペします。

第162回国会 総務委員会 第3号 平成17年2月22日(火曜日) 抜粋


○中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 本日、私は、第一に、野中広務衆議院議員の証言に基づく案件、第二に、民間放送局の第三者名義株の問題、第三に、郵政民営化について質問を行います。
 まず、野中広務衆議院議員の発言に基づく案件でございます。
 魚住昭著「野中広務 差別と権力」という本があります。この三百五十一ページに、「二〇〇三年九月二十一日、野中は最後の自民党総務会に臨んだ。」というところから始まる文章があります。これは、麻生総務大臣が当時差別的な発言をしたのではないか、そういうことが提示されている部分でございます。
 敬愛する総務大臣に対して、かなりきょうは厳しいことを申し上げなくてはいけないかもしれません。ただ、私としても、人権問題に取り組んでいる立場から、このような案件については、きちんと事実確認、それと大臣御自身の評価をお聞きしたいということで、今回お聞きさせていただくことにいたしました。
 少し長くなりますけれども、引用させていただきます。
 堀内の目の前に座っていた野中が、
 「総務会長!」
 と甲高い声を上げたのはそのときだった。
  立ち上がった野中は、
 「総務会長、この発言は、私の最後の発言と肝に銘じて申し上げます」
 と断って、山崎拓の女性スキャンダルに触れた後で、政調会長の麻生のほうに顔を向けた。
 「総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で「野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ」とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」
  野中の激しい言葉に総務会の空気は凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった。
という記述であります。
 そこで、麻生総務大臣に伺います。この大勇会の会合で、野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなとおっしゃったことは事実でしょうか。


○麻生国務大臣 私、ちょっとその本を読んでいないし、何という人が書かれたか知りませんけれども、その方の取材も受けたこともないし、面識もない、それをまず第一に申し上げておきたいと思います。
 それから、野中先生の発言は、私、その場にいましたから、総務大臣に予定されていると言われましたけれども、私は、総務大臣に予定されていたのはその次の日でありまして、前の日に自分が何大臣になるかということを知っていた大臣はゼロです。したがって、下を向いて赤くなりもしませんでしたから。正直申し上げて、今の記述はかなり違っていると思いますが、私は、その発言については事実とは全く違っていると思っております。
 大勇会の中でその種の話があったという三人というのが、どなたを指して三人と言っておられるのかは存じませんが、私どもの席では、昼食会の席だったので、かなりな数がいたという記憶がありますので、いずれにいたしましても、大勇会の席でその種の発言をしたことはありません。


○中村(哲)委員 ということは、この本に載っている日付で申しますと、三百四十四ページには、「党大会の前日に開かれた大勇会の会合で野中の名前を挙げながら、「あんな部落出身者を日本の総理にはできないわなあ」と言い放った。」と自民党代議士の証言を書かれているのですけれども、これも事実無根ということでよろしいでしょうか。


○麻生国務大臣 そのような発言をしたことは全くありません。


○中村(哲)委員 別の方からは、岡山県で開催された講演会の中でも野中広務衆議院議員は同趣旨のことをおっしゃっているそうでございますけれども、この件についても、それが、野中さんがおっしゃったということが事実であるとすれば、野中さんがおっしゃったことは事実無根であるということでよろしいですね。


○麻生国務大臣 岡山の発言はちょっとわかりませんし、その現場にいたわけでもないので全然わかりませんが、もし大勇会の話をもとにして岡山で発言をされているという前提に立ったならば、そのような事実はありません。


○中村(哲)委員 ということで、この本に書かれている当該部分の麻生総務大臣の、当時総務大臣ではございませんけれども、麻生氏の発言については事実無根であると麻生大臣はお答えになったということでよろしいですね。


○麻生国務大臣 正確に言うと、その日は無役です。その日一日だけ無役。その前の日まで政調会長をしておりまして、その日一日無役、翌日総務大臣になったというのが事実でありますので、麻生議員と言っていただくのが正しいんだと思います。その席で、総務会の段階で役職を解かれておりますので、無役でありましたから、議員が一番正しいんだと思いますが、その発言があったことも記憶をいたしておりますし、その種の発言があったことも、現場におりましたのでよく知っておりますが、現場というのはその総務会の話ですね、大勇会での一連の発言があったという発言をしておられるということも私は知っておりますけれども、その種の発言をしたということは全くありませんし、それを証言したという議員の方々というのがどなたかということも、前に一回伺ったことがあるんですけれども、みんなきょとんとしているような雰囲気でしたので、事実と違うと思っております。


○中村(哲)委員 つまり、野中当時の議員が自民党の総務会でそのような趣旨の発言をされたということは事実であるけれども、麻生当時の議員が大勇会においてそのような、野中氏を誹謗中傷するような発言をしたことはないということでよろしいですね。


コメント欄でソランさんに追加情報をいただきました。
該当箇所をWikipediaから抜粋。(2007年9月14日現在)

Wikipedia − 野中広務 − 麻生太郎による部落差別発言


魚住昭野中広務 差別と権力』、角岡伸彦『はじめての部落問題』などによると、麻生太郎自民党幹事長は過去に野中に対する差別発言をしたとして、2003年9月の麻生も同席する自民党総務会において、野中に以下のとおり批判された。「総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」野中の激しい言葉に麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだったと記されている。

2005年2月22日、衆議院総務委員会の議論でも取り上げられたが、麻生は「そのような発言(=野中に対する差別発言)をしたことは全くありません」と答弁している。2006年12月 13日、シンポジウム「今こそ部落問題を語る」にて、講師として招聘された野中が、麻生の差別発言について語った。それによると野中は、自民党政調会長当時の麻生が大勇会の会合で「野中のような部落出身者を日本の総理にしていいのか」と発言したと、大勇会会員3名から発言内容を確認したという。週刊現代の取材に対し、麻生太郎事務所は「衆議院総務委員会で説明しており、それ以上のコメントはない」と回答した。この回答を受けた週刊現代の取材に対し、野中は「事実無根だなんて。その会議(=差別的発言があったとされる大勇会の会合)におった人間が言ってますよ。河野さん(=河野洋平)も言っているし。」と発言した。角岡は、著書の『はじめての部落問題』において、国政の場でおきた部落差別であり公にされなかったら部落差別問題が見えにくくなっていた、この発言によって部落差別は以前より難しい問題となったと評価している。なお、麻生側からは魚住、角岡に対して抗議等を行っていない。

*1:リンク先は文庫版です