役者魂

Jodorowsky2007-11-15



遅ればせながら、月刊『正論』で人気沸騰中のブル聯隊長水島監督の連載。
「 映画『南京の真実』製作日誌 "情報戦"の最前線から(第3回) 」を拝読した。


さすが!と唸った箇所を抜粋。

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 福田新内閣誕生以来、国会での瑣末でドメスティックな議論を眺めていると、なるほど、日本は行くところまで行き着いたのだと、「秋の日本」を妙にしんと実感出来る。単に、政治の世界だけではない。「南京」の映画製作に携わって、日本側の俳優のキャスティングをしてみたとき、改めて分かった驚きの事実がある。映画の第一部で、いわゆるA級戦犯と呼ばれる松井石根大将や東條英機大将ら、東京裁判で絞首刑の判決を受けた七人の死刑囚が登場する。このキャスティングで、引き受ける役者がほとんどおらず、全滅状態となったのである。私が属している日本映画監督協会や劇団、俳優達は、元々、反体制的な左翼思想の持ち主が多いが、ここまで徹底した戦後レジーム状態だとは、さすがに私も考えていなかった。
 例えば、役者個人が出演を了承しても、劇団やプロダクション側から、断ってくる例が多発した。交渉した役者の中には、台詞の中に、処刑直前に「A級戦犯」が「天皇陛下万歳!」と叫ぶその台詞が言えないからと断ってきた者もいた。まあ、大抵は、危ない右翼映画で、危ない右翼監督で、危ない内容だとの意識から尻込みするのだが、私から言えば、日本の役者達の発想や感性は、もう少し、自由で、大胆で、こういう人物を演じることに、役者として非常にやりがいを感ずるだろうと思っていたのである。
 ドイツでは、ヒトラーを演じたがる役者は多いと聞く。いわゆるA級戦犯と呼ばれる人々とヒトラーとは全く異なるが、こういう大人物たちを演じてみたいという表現の自由を踏まえた意欲ある役者が、日本にほとんどいない事実に、私は唖然となった。W・G・I・P*1が生み出した戦後反戦平和思想の政治性が、表現の自由を尊ぶ精神よりも優生している、この息苦しい日本社会の実体を、改めて見せ付けられた気がしている。
 W・G・I・Pは、今や、団塊の世代が社会の中心となることで、徹底的に日本を洗脳し尽くしたのだろう。戦後レジームの精神的感性が、この分野においても、発見できるのである。しかし、この南京映画は、世界の人々に観てもらいたいと考えているから、きちんとした作品に仕上げれば、国内での俳優の有名無名は関係ない。今、そういう役者を探していて、スタッフが奮闘中である。
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全く仰るとおり。役者なら演ずることに野心を持ってほしいですね。
ただ、役者の方も生活がかかっていて、出演料や拘束時間等の条件で作品を選択する自由があるわけで。あげく断ったら「W・G・I・Pにより洗脳」扱いしたりする人物が監督する作品に出たいと思うかは非常に微妙なところではあります(笑)。


ところで、南京事件を扱っている映画といえば、
先月「南京大虐殺を題材にした映画、相次いでクランクイン」というニュースがありました。
ドイツ人監督の手でジョン・ラーベを主人公にした映画が作られてるようです。
ラーベ役はウルリッヒ・トゥクール。

善き人のためのソナタ』で主人公の同僚役をしていた人ですね。
「変な顔」で有名なスティーヴ・ブシェミアメリカ人医師とのことで、恐らく鼓楼病院のC・S・トリマー役ということでしょう。
さらに 「 日本からは香川照之柄本明が参加 」 とあります。(憎まれ役の)日本人役をやる日本人がいないから、中国人で代替なんて事態は避けられたようです。さすがは役者魂ですね。その心意気には水島監督も大喜びでしょう!
しかしなかなか豪華なメンバーですね。


[追記] id:shidehiraさんトラックバックをいただきました
shidehiraさんのエントリー働きマンブシェミによると。ブシェミの役は、鼓楼病院のもう一人の医師、ロバート・ウィルソンのようです。またキャストの一覧によると、日本人の役名は次の二つがあり。
Togo Igawa ... Ambassador Fukuda
Tetta Sugimoto ... Kesago Nakajima
福田領事役は伊川東吾。中島今朝吾役が杉本哲太*2とあります。
中島役の杉本哲太はピッタリですね。
香川照之柄本明の役目は今のところ不明。柄本さんは松井大将かな?


[更に追記]なんか寝ぼけてました。
キャスト一覧香川照之柄本明も役名が出てましたね。
Teruyuki Kagawa ... Prince Asaka
Akira Emoto ... General Matsui
柄本さんは予想通り松井大将。香川さんは朝香宮ですね。
 

*1:プロレス団体?ではなくウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムの略で、GHQによる「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」だそうです。恐ろしいですねぇ〜(棒読み)

*2:横浜銀蠅ファミリー。神津はづきと結婚。代表作『白蛇抄』。2005年に酩酊して自転車泥棒して事情聴取。銀蝿の嵐によると滅茶苦茶喧嘩が強いらしい。