なぜ映画「南京の真実」をつくるのか

 
『史』平成19年5月号 P6-9

なぜ映画「南京の真実」をつくるのか
この映画で教科書から南京に関する記述が消えたら製作者冥利に尽きる!
日本文化チャンネル桜代表 水島総
 
大反響の記者会見と支援募金
 
― 今年はあの南京事件から七十周年を迎える節目の年ということもあり、アメリカなどで南京「大虐殺」映画が作られるというニュースが飛び交っています。そこで、南京戦の正確な検証と真実を世界に伝えるため、映画「南京の真実」(仮題)を製作すということで、一月二十四日、ホテルニューオータニでこの映画の製作発表記者会見が行われました。水島さんはプロデューサー兼監督という大変なお役目ですが、大分反響が大きいようですね。
 
 水島
 お陰様で、記者会見には、南京問題研究の第一人者である東中野修道教授や保守論壇を代表する渡部昇一先生をはじめ、有識者や大学教授、ジャーナリストなど三十三名の賛同者の方々に駆けつけていただきました。また、国会議員の方々も松原仁先生や稲田朋美先生、戸井田とおる先生など十二名の先生方が超党派の「南京の真実を考える国会議員の会」として参加し、それとほぼ同数の地方議員の方々もかけつけていただきましたので、かなり大規模な記者会見となりました。メディアも、NHKなどの国内メディアだけでなく、AP、AFP、UPI、ニューヨークタイムス等の外国メディアも取材に来ていました。国内メディアの関心は低いものの、記者会見の反響は上々でした。
 今回この映画「南京の真実」の製作費は三億円ほどかかりますので、チャンネル桜としては製作準備金として四千万円を用意しました。後は皆さんからの支援金が頼みです。支援金の募集を始めてからまだ一ヵ月半くらいなんですが、お陰様ですでに一億一千万円を越え、準備金と合わせて一億五千万円くらいになっています。目標にはまだ遠いのですが、約三千名の方から、下は数千円から上は数百万までご寄付いただいています。
 
― 一口一万円でしたね。
 
 水島
 その下でも大歓迎ですし、上はどこまででもOKですけれども(笑い)、ただ、本当にもうこれはまったく見返りがないんですよ。ご寄付いただいた方にはこの映画のDVDを差し上げたり、大口の方は映画内のクレジットにお名前を紹介させていただくだけですから。
 
南京市民へのインタビュー
 
― そこで、まずこの映画を製作してみようと思われたきっかけについてお聞かせ下さい。
 
 水島
 まず一つは、今年が南京の攻略戦から七十周年記念ということで、アメリカのサンダス映画祭にて、南京「大虐殺」映画が公開され、今年中に中国やカナダ、アメリカなどで計七本の南京「大虐殺」映画製作が予定され、全世界で公開されると言われていました。ところが、イギリスとかが加わったりして、中国の主導のもとに世界中で作られるということが分かってきて、これは非常に問題ではないかと。
 
― 今のところ十本ぐらい公開されると報道されています。
 
 水島
 ええ、それで、いったいこれは何だろうと考えた時、私は十年前に戦後五十年をテーマにしたフジテレビのドキュメント番組制作のために南京に行って取材したことを思い出しました。
 その取材の時にはずっと監視役が付いていて、市民にインタビューできなかった。ただ、日曜日の朝、その監視役がさぼったのか寝坊したのか、その日の朝はずいぶん遅刻してきた。それで朝早く南京自由市場というところへ行って、無作為に「南京大虐殺を知っていますか」とインタビューをやってみた。そうしましたら、だいたい六割弱くらいは知っていると答えたのですが、残りの四割は知らないんです。
 
― 南京市民ですよね。
 
 水島
 市民です。自由市場ですから、野菜や饅頭などいろんな物売りをやっていたり、朝飯を食べたりしているところで、まったくの庶民です。知っていると言っても「ああ蒋介石がやったんだろう」とか、それくらいの知識なんです。その中でも、当時四十歳くらいの人などは「確かに私はおじいちゃんから聞いた」とか「自分のおばあちゃんが殺された」と答えた人もいました。百三十人近い人にインタビューしたんですが、数人ですよ、殺されたとか答えたのは。多分、共産党員でしょう。そこからなんです、おかしいなと考え出したのは。ただ正直に言いますと、十年前は、三十万は大袈裟だけど、戦争だから数万人くらいは殺っているんじゃないかというイメージが実はありました。
 
― 今でも一般的にはそういうイメージを抱いている人は少なくないですね。
 
 水島
 南京屠殺館へも行ってみました。大袈裟な展示なのですが、いかにも嘘っぽいという印象でした。我々日本人が入っていくと、突然日本語のフィルムに切り替わったりする。それで日本に帰ってからこれはちょっと変だなと思い、それから少しずつ南京事件関係の本を読みはじめました。それで昨年の十二月、南京大虐殺の映画が七本も公開されるというニュースに接し、社内でも映画製作について話題にしていた。やるとなったらこれは大仕事ですから、一晩考えました。そして、「よし映画を作ろう。これは会社の命運賭けてもやろう」と決断したんです。
 
― あのニュースが直接のきっかけだったんですか。
 
 水島
 はい。それから、ご存知のように中国が南京屠殺館を世界遺産に申請しています。今、拡張工事をやっていて二倍ぐらいにするそうです。アウシュビッツと広島の原爆ドームと南京屠殺館を世界遺産にというキャンペーンをやっています。アウシュビッツ原爆ドームは歴史的事実ですからともかく、こんな南京大虐殺のようなインチキな歴史が世界人類の遺産として共通の認識になったら大変なことになる。それもあって、やはりこれはやらなければいかんなと。もともと私は映画監督ですし、脚本もずっと書いてきた人間ですので、これは私しかいないんじゃないかということで製作を決意した次第です。
 
― 南京事件については、これまで中学校の歴史教科書には二十万人以上とか中国が主張する三十万人であるとか、犠牲者数を出して日本軍が南京市民を虐殺したことを強調して記述していましたが、議論の余地があると文科省が指導して数字だけは消えたんですが・・・・・・。
 
 水島
 一歩一歩なんです。最近、東京財団で招いた中国の研究員が、三十万というのは政治的な数字だったと言っているそうで、中国も認めはじめている。ですから、三、四万は認めろよとか、五千人でいいから虐殺は認めろよというような政治的な駆け引きなので、これは従軍慰安婦問題のように絶対認めてはいけないんです。
 
アイリス・チャンを暴く
 
― そういう点で、募金された金額の大きさからも期待度が現れていると思うんですが、だいたいどのような内容をイメージされているんでしょうか。
 
 水島
 実は今、評判なるようにいろいろ仕掛けをしています。仕掛けながら評判になっていくようにと考えています。ですから、内容については今のところまだ話せる段階ではないので勘弁して下さい。ただ、この映画によって教科書から南京に関する記述が全部消えるようになったら、これは製作者冥利に尽きるような内容ですので期待して下さい。
 
― 中学校の歴史教科書の採択は二年後の平成二十一年で、検定は来年の予定です。この映画が今年中に公開されてインパクトを与えられるよう期待しています。
 実は東中野先生たちが「日本『南京』学会」を設立した際、政府見解の見直しについて討議したことがありました。政府見解とは「日本軍の南京入場後、非戦闘員の殺害あるいは略奪行為があったことは否定できない事実」という内容ですが、やはりこの政府見解が変更されないと、一般の認識も教科書の記述もなかなか変わらないのではないでしょうか。
 
 水島
 そう思いますね。根本的には確かにその通りです。ただ、海外で今年製作されている映画はアイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』(The Rape of Nanking)をベースにしているようですが、日本軍が南京で市民約三十万人を虐殺し、二万人から八万人の女性を乱暴したなどと彼女は書いていて、読むに耐えないひどい内容ですよ。
 
― でっち上げですね。
 
 水島
 そう、でっち上げ。序文を読んだだけで辟易しました。ただ、アイリス・チャンの著作を含め、これまでの軌跡をたどることも意味があるのではないかと思っています。
 彼女には、中国が一九六〇年代に開発した地対艦ミサイルの開発者について一九九五年に出した『スレッド・オブ・ザ・シルクワーム』(Thread of the Silkworm)という本があり、中国系アメリカ人編集者が彼女に書かせた本です。この本の後で1997年に『ザ・レイプ・オブ・南京』を書かせている。物書きにとって処女作というのは、その人の作家生涯のベースになるものですから興味深いものがあります。それと『ザ・レイプ・オブ・南京』の後、自殺する前年の二〇〇三年の本で、アメリカの中国系移民の歴史を書いた『アメリカにおける中国人』(The Chinese in America)があります。この本で彼女は大失敗する。「タイム」などの大手メディアに「歴史的証拠の裏付けを欠く」「事実誤認」など、作家生命が危うくなるほど酷評される。
ですから、『ザ・レイプ・オブ・南京』はベストセラーになりましたが、日本語版は出版社が提示した事実誤認を彼女が受け入れなかったのでボツになりましたし、次の作品では「歴史的証拠の裏付けを欠く」と酷評されているのですから、『ザ・レイプ・オブ・南京』のインチキぶりと、彼女がいかにいかがわしい作家かを指摘するのも重要かと考えています。
 
― 「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」と言いますけれども、あの本が出た当時、あのような殺し方は日本の文化からは出てこないと言う指摘がありました。
 
 水島
 それなんですよ。腹を切り裂いて死んだ女性の性器に棒を突っ込んだり、そんな異常な殺し方が出てきますが、それは中国人が通州でやったことであり、台湾の二二八事件でやったことですよ。
 それと、南京陥落直後に撮影した映画を見ますと、虐殺などなかったというのがよく分かります。特に正月近くになって中国人の子供達が爆竹を鳴らして楽しそうに笑っているのですが、もし子供に芝居させたとしたら大変だ演出です。子供はいくらなんでもあんな芝居できませんよ。
 
― 映画には中国人露天商が物を売っていたりする光景も出てきます。当時の写真集もありますね。
 
 水島
 あります。全部揃っています。ですから、虐殺なんてありえないです。記録もないし、証拠もない、何もない。軍事とか経済などは競争ですから負けることはあっても、心の問題に関わる情報に対して負けるということは根本的に駄目で、これは日本の恥ですよ。
 
― 中国は国家プロジェクトとして仕掛けてきています。
 
 水島
 はい、これは中国から情報戦争の宣戦布告を受けているわけです。情報戦争を戦う気持ちがないと駄目ですね。
 
― 映画は中国語版も作られますね。
 
 水島
 はい。もちろん英語版も作って世界同時公開を目指しています。また、インターネットの動画配信もする予定で、アウシュビッツや広島と言う実際あった話と、この南京はまったく違うということを世界中で分かってもらいたいんです。
 
― 年末の公開を楽しみにしています。これからが大変ですが、つくる会も募金には協力させていただきます。本日はお忙しいところありがとうございました。
 
(3月16日取材)