亜細亜にまづ皇化の恵沢を施すこと

松井石根を中心に組織されていた「大亜細亜協会」。
その機関紙『大亜細亜主義』には、あの田中正明さんも編集委員として参加していたとのことです。
そんな『大亜細亜主義昭和11年12月号に掲載された、大亜細亜主義協会総会での松井さんの挨拶をコピってみます。
※旧漢字は新漢字に変換しております*1

亜細亜協会の総会に当たりて  松井石根
 此の度大亜細亜協会総会の開催せらるゝに当り、主催者側を代表して御挨拶申上ぐることを得るは私の欣幸とするところであります。顧みれば昭和八年三月創立以来会員同志並に各方面先輩同志諸彦の御尽力と御援助により当協会の志業が逐次進展の路を辿り、大亜細亜主義の理想精神が漸く内外に高揚せらるゝを見るに至りましたことは御同慶に堪へないところであります。当協会の設立は偶々満州問題を契機として我が国が国際連盟より脱退した時期に相当し、「亜細亜に還れ」の自覚が漸く我が国民の脳裡に萌し始めた当時でありましたが、協会の成立と協会同人の活動が此の国民の亜細亜意識の長養に聊か興て力ありしことを申上げても必ずしも自賛ではないと存じます。
 更めて申上ぐるまでもなく、我が日本民族の理想は、素と大義を四海に布植するに在りまして、ひとり亜細亜の天地にのみ局限せらるゝものではありませぬ。然しながら、之を近くより遠くに及ぼすは一切の倫理運動の原則であります。今日混沌と乱離の中に在る亜細亜にまづ皇化の恵沢を施すことが、やがて大義を四海に布くの前提であります。況や、亜細亜は世界文明の母でありまして皇道の啓沃により亜細亜の復興致しますることはまた実に真乎の世界文化の復興を意味するのであります。御承知の如く今日の欧羅巴は西班牙の内乱を中心に所謂人民戦線と国民戦線との対立により惨烈なる闘争が展開されやうと致して居りますが、これは畢竟欧羅巴個人主義の苦悶であり、欧羅巴文化の缺陥が此処に如実に呈示せられて居るものと思はれるのであります。亜細亜的精神、東洋的全体主義の高揚は実に此の破綻に頻する西欧文明に救済の光明を投ずるものと考へられるのであります。
 転じて善隣中華民国と我が国との関係が寔に面白からぬ状態に在ることは諸賢御同憂の通りでありますが、これまた一に我が大亜細亜精神の発揚貫徹によつての行き詰りが打開せらることを私は信じて疑はないのであります。これがためには我が国民自らが先づ反省して更に深き大亜細亜主義精神を以て支那に臨むと共に政治的にも文化的にも支那国家をして醇乎たる亜細亜的国家に復帰せしむるの努力を忘れてはならないと思ふのであります。
 斯く致しまして我が大亜細亜協会の使命は漸く重且つ大であると申さなければなりません。協会の志業達成のために更に組織を整備し、陣容を強化し、事業内容を拡張致しまする必要を感ぜしめられる次第であります。右の趣旨御汲み取りの上此の上尚一層深きご協力をお願ひして御挨拶に代へる次第であります。

亜細亜主義亜細亜の皇化ってことっすね。
原文のスキャン画像

 
亜細亜主義協会役員メンバー

近衛文麿廣田弘毅も名を連ねてます。
 
亜細亜協会入会申込手続*2

紹介者&半年分の会費5円が必要のようですね。
 

*1:参考:http://www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/language/kyuuji.html

*2:現在会員募集は行っておりません(たぶん)